朝鮮半島の光と影

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原文

The Light and Shadows of the Korean Peninsula

By Emanuel Pastreich, July 28, 2022

 

 

朝鮮半島の衛星写真を見ると北朝鮮の夜は暗い。一方、日本や韓国の夜は人工光で明るく照らされている。アメリカの多くの専門家らはこの様な違いについて、北朝鮮が開発途上国であるからだと主張する。これは即ち、北朝鮮の偏っていて抑圧的で、哀れむほど立ち遅れた体制の結果だと言うのである。明らかな点は、明るく照らされた韓国は発展、先端技術、民主主義そして自由市場のモデルであるということです。韓国は発展と民主主義の光を得たところであり、北朝鮮は独裁や無知の暗闇に満ちたところという説明は、朝鮮半島の衛星写真を見る世界の人々の頭の中に自然と吸収され、美的にも完璧な写真であるかのように記録されている。

朝鮮半島の衛星写真に関するこの様な態度は、韓国の政治家や学者、言論人の間でも革新と保守に関わらず大きな差は無いように感じる。韓国の革新派の政治家たちは、北朝鮮との協力を通して開城工業団地のようなプロジェクトに対し更なる投資を行い、北朝鮮の住民たちに雇用の機会を提供するべきだと主張している。また、韓国は北朝鮮の安価な労働力と豊富な天然資源などで利益を得るべきだと主張している。更に、韓国の保守派は、北朝鮮は独裁国家であり韓国を武力によって脅かしている為、信頼できないと主張している。彼らは、北朝鮮がまず国際社会に完全に門戸を開放し、全ての核施設に対する完全な査察を受け入れるべきだと言う。

韓国の革新派と保守派の想定は根本的に違わない。両者とも、韓国は更に発展を遂げ、その増え続ける国内総生産(GDP)の恩恵を北朝鮮も享受しながら、自動車に乗り、テレビやスマートフォンを持ち、広い家に住んで世界的にヒットしたK-popを制作するべきだとしている。現在のように閉鎖的で抑圧的な北朝鮮の政府が理想モデルだと主張していることには呆れるが、それと同時に北朝鮮が韓国のように変わるべきだという主張に対して、私は安易に同意することは出来ない。何故なら私は12年間、韓国に住みながら韓国の深刻な問題を目撃してきた為だ。

高い自殺率、汚染された空気、学校での容赦ない競争、若者たちが感じる疎外感、輸入食品や輸入燃料への過度な依存、そしておびただしい数の貧困高齢者のような問題は、韓国全域に深い影を落としている。これは、朝鮮半島の衛星写真では写すことの出来なかった韓国の姿である。

韓国と北朝鮮について話す時、朝鮮半島を人工衛星のように高い所からではなく底辺から徹底して観る必要がある。私は北朝鮮を訪問したことのある多くの韓国人から平壌で暮らす市民の姿を見た時の印象を聞いた。平壌の小さな野菜市場やホテルの素朴な造りを見た韓国の人々は、そこから飾り気の無さを感じ、韓国では既に消えてしまった何か大切なものがそこには残っていると感じたという。北朝鮮の女性たちは、韓国のような贅沢は出来なくても、化粧をしたり、消費競争のプレッシャーを感じているようには見えなかったと言う。平壌ではブランド衣類への需要が無い。携帯電話中毒の青少年たち、必要もないものを見せつけて買わせる多くの広告も平壌には無い。その代わり北朝鮮には1960年から70年代まで韓国に存在した韓国社会の様々な文化、例えば人と人の絆の様なものが残っているように思えた。

北朝鮮について議論する時、韓国のメディアや専門家らが見逃している重大な問題が更にある。メディアでいわゆる「専門家」によって行われている北朝鮮関連の全ての議論は、経済成長、国内総生産(GDP)、生活水準、生産など、基本的に消費関連の問題について言及している。この様な基準で見ると北朝鮮は、先進国、特に韓国と比べると非常に立ち遅れている。つまり韓国は北朝鮮が「現代の先進国」になる方法を教える兄になれると言う事を意味する。しかし、この様な全ての用語は本質的にイデオロギー的で主観的である。韓国でのこの様な思い込みは、資源を浪費することが肯定的で積極的に奨励されるべきだという考えに基づいている。また更に、大きくて必要以上に暖房が効いている家に住み、自動車やスマートフォンを所有することが発展だとしている。

しかしこの思い込みの根幹となる科学的な根拠は全くない。それらは月に祈れば雨が降る、またはヒルを使って血を吸えば重い病が治ると言うことくらい空虚な話である。

実際に研究結果を見ると、消費に焦点を合わせた行動パターンは深い疎外感や自殺率、薬物乱用の増加を含む社会全般に渡る深刻で破壊的な影響を及ぼすとされている。即ち北朝鮮が進むべき方向と韓国が成功を収めたことに対する仮説は、イデオロギーや根拠のないものや近代的な神話に基づいている。それに伴う結果として韓国の人々は、そのような仮説によって挫折感や過度なストレスを感じているにも関わらず、自分たちが成功したと確信している。

朝鮮半島の夜を写した衛星写真は、実際には朝鮮半島の光と影が完全に伏せられた状態の全く異なる別の姿を説明している。イデオロギーに支配された感情を無くし、客観的で科学的な分析を重視する専門家らの間では、人類が地球温暖化(気候変動)により前例のない危機に直面していると警鐘を鳴らす。現在の地球温暖化の速度を踏まえると、地球の生命体の滅亡を避けられないと言う意見が根強い。

気候変動による災いやその結果によって既に一部では滅亡が始まっていると言う多くの報告書や書籍が出ており、それは朝鮮半島も例外ではない。現在、ソウルでは12月まで蚊が生存し、また1月には花が咲いているのを我々は目の当たりにしている。この様な現象は急速に進んでおり、今後、韓(朝鮮)民族の生活を脅かしかねない。

気候変動がこの様な速度で進んでいるのを放置する場合、魚介類が滅亡するほど朝鮮半島の沖合の海水温度が上がり酸性化し、砂漠が拡大するだろう。輸入食品と化石燃料製品の輸出依存度が高い韓国は、絶望的な状況に陥るだろう。

それでは、統一朝鮮半島はどのような選択をするべきだろうか。答えは明確である。エネルギー消費や節約面において北朝鮮に定着している方法を模索する必要がある。

人類は数万年の間、夜は暗くなくてはならず、エネルギー消費を減らす生活方法を維持してきた。その様な方法に基づきマンションなど建物の不必要な照明は無くし、ネオンサインのような商業用の建物の電気掲示板を使用せず、内部の暖房を大きく減らす一方、高い天井やコンクリート、ガラスや鋼鉄、外観などの建物の無駄なデザインを中断すべきである。それを通じて長い間、韓国歴史で維持されてきた質素でシンプルな伝統に戻らなければならない。

韓国の夜は、もっと暗くなるべきだ。韓国の都市を照らすためには政府の補助金が支給されている化石燃料の使用が大きな役割を果している。これは、恐ろしい大気汚染や過渡の燃料輸入費用を発生させる一方、私たちの子どもたちの未来を脅かす地球温暖化を進めるなど、莫大な費用が掛かると言う事を認識しなければならない。

しかし、より深くて隠された秘密がある。これまで韓国は多くの「開発途上国」とは違い、近代化と発展を成し遂げ特別だと認められるためには、更なる消費を通じて成長し続け発展しなければならないという神話に洗脳されてきた。そのため、数代にわたって近代化が最優先順位として考えられてきた。しかし、化石燃料を消費し天然資源を浪費することが、生態系を破壊し子どもたちを苦しめているとしたら、その近代化というのは一体何であろうか。

北朝鮮には、かなり深刻な多くの課題があるが、気候変動に対処する解決策と言う面で見る時、韓国は北朝鮮の「低い消費」をベンチマーキングする必要がある。私の話が可笑しく、途方もない話にすら聞こえるかもしれない。

しかし気候変動によって滅亡の危機に晒されるとしたら、この様な経済成長の数値に何の意味があると言うのだろう。韓国で夜通し灯を灯す多くの電灯は、発展を象徴するのではなく我々の子どもたちが将来使うべき電力を奪う犯罪であり、闇に満ちた偽善的な光に他ならない。韓国政府は、化石燃料の補助金支給を直ちに中断すべきである。

考えてみよう。今より少し暗い夜を過ごしながら家族や友人たちと会話を楽しんだり、読書したり、手紙やエッセイを書いて森を歩いたりしながら過ごすことは出来ないのだろうか。日常生活の中で演劇や音楽公演をしながら無限に広がる深い意味を見出し、スピリチュアルな経験をすることも出来る。スマートフォンのジャングルとスターバックスという檻で使用するプラスチック製のコップを無くすことが出来るならば、韓国の市民は遥かに豊かな生活を発見することが出来るはずだ。その様な生活の在り方に関するヒントは、もしかすると反対に北朝鮮の暗闇の夜景社会から見出すことが出来るかもしれない。

統一朝鮮半島の未来について考える時、近代的で発展したものだけが最高だという危険な考えから打破する必要がある。我々は、人になるという事が何を意味するのか自問するべきである。どのように意味があり充実した生活を送りながら社会に貢献することが出来るだろうか。

私は北朝鮮の住民が今より自由に生活し、今より栄養のある食べ物が食べられることを願っている。

しかし、一時、市民たちに経済的な独立性を享受させた家族経営の店を潰しながら支配してきた韓国式コンビニでは、消費主義が染み付いた食べ物ばかりを供給するだろう。未来の子どもたちが享受すべき豊かさから奪い去ったものを消費して暮らすことが統一朝鮮半島の理想的な食卓の風景だと言えるのだろうか。

それと同時に私は、韓国の人々が分別なく消費するよう束縛し(世界中のほとんどの国家とは反対に)石炭の消費を増やすよう強調してきた見えない鎖から解放されることによって、終わりなき競争を強制する残酷な文化によって友人や家族から疎外感を強く感じる現象が無くなることを願っている。

自由は、政治体制だけに留まった用語であってはならない。スマートフォンを所有するという自由を得た代わりに、スマートフォンなしに暮らせない物質の奴隷の様に転落したのが韓国人だ。韓国の市民たちが北朝鮮の人たちと比べて自由だと誰が言えるだろうか。

統一に向かう動きは、韓国と北朝鮮の全ての人々の自由に関するものでなければならない。北朝鮮の人々だけが質的な生活の自由を享受する資格があるとするならば、それはなんて不公平な事なのだろうか。

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This article was originally published on Fear No Evil.

Emanuel Pastreich served as the president of the Asia Institute, a think tank with offices in Washington DC, Seoul, Tokyo and Hanoi. Pastreich also serves as director general of the Institute for Future Urban Environments. Pastreich declared his candidacy for president of the United States as an independent in February, 2020.

He is a regular contributor to Global Research.

Featured image: Seoul, South Korea, as seen from Namsan Mountain. strogoscope / Flickr


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